インタビュー/スタッフ・キャストがたまゆらへの想いを語る!

切なさはあっても悲しくはない。温かいものが後味に残るような、そういうバラードにしたかった。/vol.3/主題歌アーティスト/坂本真綾

――坂本さんはOVAから『もあぐれっしぶ』まで全シリーズのオープニングを担当されています。坂本さんにとって、『たまゆら』とは、どんな存在ですか?

坂本 OVAのときには松任谷(由実)さんの「やさしさに包まれたなら」をカバーさせていただいたのですが、当時、私はまだカバーというものをしたことがなかったんです。でも「もしカバーをすることがあるなら、この曲」とずっと思っていたのが「やさしさに包まれたなら」でした。それくらい思い入れのある曲なんです。

――その曲が偶然にも『たまゆら』のオープニングになったのですか?

坂本 佐藤監督も「やさしさに包まれたなら」は、『たまゆら』のイメージにぴったりの曲だと思っていたそうなんです。それで「もしよろしければ、この歌を私が……」という感じで(笑)。カバーさせていただくことになりました。だから、『たまゆら』に出会えたことで、私はこの曲をカバーする機会をいただいたというか……。カバーという新しいことに、勇気をもって挑戦する機会をいただいたんです。そこから、『hitotose』のときに、松任谷さんに新曲(「おかえりなさい」)を書き下ろしていただくチャンスにもつながりました。そういう意味で、私にとって『たまゆら』は、「大好きなアーティストと結びつけてくれた作品」なんです。

――『もあぐれっしぶ』では、大貫妙子さん作詞作曲の「はじまりの海」を歌われて、今回の『卒業写真』では、坂本さんご自身が主題歌「これから」の作詞と作曲も担当しています。

坂本 『卒業写真』というくらいなので、これでもう『たまゆら』には会えないのかもしれないですし、ぜひ自分でやらせてもらいたいと思いました。これまで、松任谷さん、大貫さんに作っていただいて、「今度は坂本真綾が書きます」と言ったら、みんなガッカリするんじゃないかというプレッシャーはありましたが(笑)。

――「これから」は、どのようなイメージから生まれた曲なのでしょうか?

坂本 卒業ということで、自分の学生時代を思いかえしたりもしました。ひとつの場所を卒業して新しい世界に飛び込んでいくときって、すごく不安もあるし、周りの人がどんどん先に行っちゃう気がして焦ったりもする。それって私自身も経験してきたことなので、『卒業写真』の物語で描かれる彼女たちの葛藤や初めて出会う不安みたいなものは、すごく理解できるんです。でも、私と彼女たちは同じ目線にいるわけではなくて。私にとっては、もうとっくに通り過ぎてきた過去のこと。大人になった私だからこそ、「それが起きても大丈夫なんだ」と思えるんですよね。だから、彼女たちの視点で詞を書きつつ、心では「大丈夫なんだよ」と言うようなつもりで作っていきました。

――曲に関して、オーダーのようなものはあったのでしょうか?

坂本 『たまゆら』をずっと担当している音楽ディレクターも、この作品に対する愛情がすごく深まっていて。「とにかく泣けるバラードを書いてほしい」と。打ち合わせのとき、30回くらい「泣けるバラード」と言われました(笑)。非常に難しかったし、実際に皆さんに「泣ける」と思っていただけるかは分かりません。でも、自分自身が思う『たまゆら』らしさというか。切なさはあっても悲しくはない。温かいものが後味に残るような、そういうバラードにしたいと思って作りました。

――レコーディングでは、どのようなことを意識されたのでしょうか?

坂本 映画館で、『たまゆら』ならではの景色と、彼女たちのピュアな視点の物語を観たあと流れるのにふさわしい、真っ直ぐなボーカルを目指すのが一番大事だと思いました。けっこう芯はある子たちなので、凛としたところもあって欲しいし、彼女たちのような透明感も欲しい。あまり癖がないように、なるべく素直に歌おうと思いました。

――すでに公開されている予告編の映像でも「これから」が使われています。ご覧になった感想をお聞かせください。

坂本 私は、作品のために曲を書き下ろすのは初めてで。自分の作った曲が流れるフィルムを見るのは、個人的にはすごく感慨深いものがありました。それに、映像を観て「間違ってはいなかったな。この作品に合っているんじゃないかな」という確信も持てました。

――最後に、主題歌アーティストとして、『たまゆら~卒業写真~』に対する意気込みを聞かせてください。

坂本 私の仕事はもう終わっていて、あとは観るだけなのですが(笑)。「作品のために曲を書き下ろす」という作業に挑戦させてもらえて、本当に感謝していますし、私自身、とても好きだと思える曲ができました。それは『たまゆら』に出会えたからこそ。これまで錚々たるシンガーソングライターの皆さんが、『たまゆら』のためにエバーグリーンな世界観の曲を作ってくださいました。そんな作品の主題歌にふさわしいものになるよう、夢中で必死になって作った曲です。本編を観ていただければ「ストーリーに合ってたな」と感じてもらえるはず。ぜひ楽しみにしてください。

坂本真綾
配信限定シングル「これから」

作詞・作曲・コーラス編曲:坂本真綾  編曲:河野伸
4/1(水)から、レコチョク、iTunes他、音楽配信サイト(ハイレゾ含む)にて一斉配信スタート!

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