「たまゆら」の作品について、佐藤順一監督と脚本家の吉田玲子さんに直撃。
誕生のきっかけやキャラクターのことなど語っていただきました。
――「たまゆら」という作品が生まれたきっかけを教えてください。
佐藤:
2005年に、今回と同じスタッフで「ARIA」という作品を作っているのですが、
すべてはここが始まりですね。
ああいう穏やかな空気の作品をもう一度作りたかったんですよ。
やっぱり物語の舞台には海があってほしい、
ただしもっと身近な所をと考えて・・・。
吉田:
お話を聞いた私の第一印象は、“今度の舞台は日本だ!”でしたよ。
「ARIA」は、海外の街がモデルになっていましたから。
同じ海があって、共通点があるんですよね。
――今回の舞台は、広島県竹原市ですよね。
佐藤:
舞台は、どこかノスタルジーを感じさせる場所がいいなぁと。
懐かしい風景があって、ランドマークになるものがあったり・・・。
一番こだわったポイントは、“海”と“駅”。駅が海の近くにある、
あるいは、駅を通る路線が海沿いを通るといった映像を考えていて。
そういう点で、竹原にはのんびりとした電車の呉線が通っていて、
穏やかな瀬戸内海のキラキラした海がある。
欲しかったキーワードがきれいにハマリましたね。
お話のリズムと呉線から見える景色のリズムがシンクロしてくれるといいですね。
吉田:
私は広島出身なので、高校時代に呉線を利用していたんですよ。
だから、あまりありがたみはわからないですね(笑)。
住んでいたときはのんびりしていて何にもないと思っていたくらいですから。
――その穏やかな舞台で主人公の楓をはじめキャラクターは高校生活を
送っていきます。キャラクターでこだわったところを教えてください。
吉田:
実は、キャラクターひとりひとり、佐藤さんが口癖を考えて下さいまして。
それを頼りにしながら書いていったのでやりやすかったですね。麻音ちゃんは口笛ですが・・・。
なかでも一番気をつかったのは楓ちゃんですね。意外と、内面に色々ある子なので。
佐藤:
私も楓はこだわりましたね。なんていうか、色々ある内面を出しつつ、
小動物っぽさがでたらいいなぁと思って。
ここに登場する女の子たちは、ぼや~っとした夢を持っているんです。
これくらいの時期って、確固たる自信がある人以外は、
ぼや~っとしか夢を持っていないと思うのですよ。
その夢のあり方みたいなのが、リアルに少し懐かしく感じていただけたらうれしいですね。
私も高校生くらいのときは、夢が色々ありました。あのころは、コマーシャル映像制作や、
怪獣の気ぐるみを作る人なんかに憧れましたね。
吉田:
私はこのころは、遠くへ行きたい!という夢を持っていました(笑)。
佐藤:
意外と叶いやすい夢でしたね(笑)。でも、みんな大なり小なり、夢は持っていたと思うんですよ。
なので、自分の高校生時代に照らしあわせてみて、
ぼや~っとした夢に共感していただけるんじゃないかなと思ってます。
吉田:
声もぴったりでかわいく演じていただいていますし。竹達さんは、そのまんまですよね。
佐藤:
声のキャストについては、キャラクターとどこかリンクをする方にお願いしていますね。
基本性格だけではなく、どこか根本が似ているというか…。
作品が成長するにつれて、キャラクターと声優の方もどんどんリンクしていくはずなので、
今後、楽しみですね。
――実際に書いていて、互いの要求で難しいと思われたところはありますか?
吉田:
タイトルが「たまゆら」というほどで、どこかゆらゆらとしたイメージのある作品なので、
物語が起承転結がある話しではないのだけど、着地点のつけ方みたいなのは難しいとは思いましたね。
事件がない中での結末ですから。
佐藤:
でもこれは「ARIA」をやっていたおかげでスムーズにいきましたよね。
「ARIA」を作る前は、まわりのスタッフから事件もなしでどうするんだ!と言われていたんですよ。
しかし、事件がなくても楽しんでもらえるということがわかりましたから。
事件が起きるということは、現状あるものを壊すことだと思うんですよ。
日常だったり人間関係だったり。壊してドラマを作るということは簡単なんですけど、
空気を壊さず作るあんばいは「ARIA」でみんなが学んだことかもしれませんね。
――そんな優しいイメージの本作のテーマ曲は坂本真綾さんが歌う
「やさしさに包まれたなら」ですね。
佐藤:
歌をちゃんと聴いたことはなかったんですが、聞いてみるとビックリ。
ぴったりの曲だと思いましたね。
吉田 :
ユーミンの曲というのは、海とかスキー場とか外が似合いますから。
音楽が決まりキャストが決まって、どんどん作品が色づいていっているので楽しみですね。
――最後に、本作はどのような方に見ていただきたいですか?
吉田 :
彼女たちと同年代の女の子にも見ていただきたいですね。
自分の夢をキャラクターに託していただいてもらったりして、共感していただきたいです。
佐藤 :
過ぎ去った時間に思いをはせて、懐かしいなぁと思っていただければ。
より身近な、等身大の女の子たちがもつ夢の形の手触り感などを感じてほしいですね。
できる事ならこの先、4人それぞれの成長が描けるようにしていきたいです。


